考える冒険

※「信ずることと、知ること。」から引っ越してきました。

【読中記】若松英輔『光であることば』~②

こんにちは。

今回も、若松英輔さんの『光であることば』からの引用をお届けします。今日は、第9節「感じるものの彼方へ」(ノヴァーリスと志村ふくみの節)を扱います。

 

 

希望は目に見えない。しかし、私たちは挫折や試練を経験することによって、かえってそれにふれることがある。希望が見えないことと、それが存在しないということは同じではない。むしろ、目に見えて明らかな試練が、見えないが確かな希望への扉になることもある。

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若松さんは、常に「言葉」の微細な差異を嗅ぎ分けて用い、そこに注意を促します。ここでは、希望が「見えない」と「(存在し)ない」ということが、明らかに異なる位相のことであると語られています。

希望が「見えない」「見えてこない」のであれば、それは見る側の問題であって、見ようとさえすれば、見えてくる。そう語りかけているような気がいたします。