考える冒険

※「信ずることと、知ること。」から引っ越してきました。

【読中記】若松英輔『光であることば』~①

こんにちは。

これから先、読中メモを書く感覚で、思いついたことを書き散らしていこうと考えて、「読中記」というカテゴリーを新設してみました。その第一弾は、若松英輔さんの最新刊『光であることば』です。

 

 

24節にわたって、古今の「哲人」たちの章句から受け取った「ちから」を、若松さんが書き留めています。1節1節が味わい深いので、あまり一気にまとめては読み進められない文章だなと思いました。

今回は、「詩歌のちから」として白川静/紀貫之/南原繁らに寄せて綴られた第6節から紹介します。

          *       *       *

励ましと なぐさめが

ちがうと 知ったのは

さけがたい

人生の壁に

ぶつかったときでした

 

むかしの人が

たましいと呼んだ場所を

緋色の炎の姿をした

なぐさめが

そっと おとずれるのを

経験したときでした

 

励ましとなぐさめが

ちがうと 分かったのは

あの人が

じっとだまって

そばに いてくれたからでした

          *       *       *

この、題も作者の名も記されていない「詩」は、たぶん若松さんご自身のものだと思われます(あとがきに書いてあるかもだけど)。

今はじっと、この詩句を味わいたいと思います。