考える冒険

※「信ずることと、知ること。」から引っ越してきました。

「やさしさ」は平和の力たりえるか?~大江健三郎さんの問いかけから

こんにちは。

2023年3月3日、文学者の大江健三郎さんが亡くなりました。ぼくは熱心な読者でも、よい読者でもありませんでした。小説とエッセイ合わせても3~4冊程度を読んだだけです。しかし、幸いなことに、学部生時代に講演を聴講することができました。1980年代のことで、『新しい人よ眼ざめよ』が発刊されてしばらくしたころだったと記憶しています。

 

 

演題は、この稿の題目として掲げている「『やさしさ』は平和の力たりえるか?」だったと思われます。お話しの内容は、人に対してやさしくあろうとすることを不可能にすることに抗うのであれば、それは「平和」の力たりえていると私は考えます、というものでした。

年度が替わり、唐突にぼくの意識に上ったこの講演は、坂本龍一さんもまた鬼籍に入ったこととも関係があるかもしれません。

ぼくは、本を読んだり、それを人に勧めたり、または読書会を開いたりしています。それはもちろん、「したいから」「楽しいから」していることには間違いはないのですが、もう少し言っていいのであれば、本を読むのを不可能にするものに抗うために、今日も本を読んでいるんだという「読み替え」をしてみたところです。

「現実が(劇的に)変わらないのなら意味はない」という考え方は、確かにあるとは思います。しかし、変えること・変わることに向けて考え、声をあげようとすることまでもが無化されてしまうのかというと、そうではないと思うのです。

この項目、引き続き考えていきたいと思います。お読みくださり、ありがとうございました。それではまた。