考える冒険

※「信ずることと、知ること。」から引っ越してきました。

『高校生からわかる社会科学の基礎知識』~(5)第2章 近代法③

こんにちは。

なかなか思うようには進められない『基礎知識』ですが、今回は「第2章 近代法」の3回目として、

8 西欧政治の流れ 近代憲法の確立過程と、
9 憲法

とを中心として扱います。おつき合いくださいますと幸いです。

8 西欧政治の流れ 近代憲法の確立過程

(以下の「項目」ごとに付いている数字は、引用者が便宜的に付与しているものです。以後に書かれる記事についても、これに準じています)

  1. 中世・封建社会 複数の権力が入り乱れた時代
    1. 9世紀西欧=王政と封建制(古代の土地制度と主従関係を引き継ぐ)
    2. 荘園制
    3. 複数の権力が併存
    4. 双務契約
  2. 中世末期 教皇と諸侯の権威が低下しつつあった時代
    1. 強い権威=ローマ・カトリック教会教皇、教会法
    2. 教会=町の領主、冠婚葬祭を管理⇔十字軍の失敗、アヴィニヨン捕囚などで教皇の権威が低下する
    3. 国内統一を目指していた諸国の王と、市場の統一を目指した商人とが結びつき、諸侯や騎士階級が没落=中間権力層が弱体化
    4. イギリス 封建貴族が疲弊、王権が伸長し、地主階級(ジェントリ)が台頭
  3. 宗教改革期 西欧社会の原点に価値を見出しつつあった時代
    1. ルネサンス、商業の開花(イタリア)
    2. 宗教改革(16世紀後半)
      1. 贖宥状に反発したルター、95か条の論題。神の代理としての教皇カトリック教会の諸制度を否定
      2. プロテスタント 聖職者を介さずに、聖書を通して個人単位で神と向かい合う
  4. 印刷技術の貢献
    1. ルターの改革運動→ドイツで農民の反乱→やがて宗教戦争
    2. ラテン語で書かれていた聖書が翻訳されるようになる
    3. 活版印刷 聖書、論題、風刺画等の生産
  5. 絶対王政
    1. 実権を強めていった王権→絶対王政=権力を集中、官僚機構と常備軍を掌握
    2. 資金源として、重商主義が採用される
  6. フランス革命
    1. 三身分(=平民)の不満、財政難→特権階級への課税を検討=王権を制限するための三部会(身分制議会)を求める
    2. 人権宣言 自由・平等・抵抗権・国民主権・所有権について規定
    3. ジャコバン派による恐怖政治
    4. ナポレオン
  7. 君主政と権力の正当性
    1. 国民を非権力的にまとめる存在が必要
    2. フランス革命の評価は難しい

9 憲法

  1. 憲法の位置づけ
    1. 「狭義の」憲法(=近代における意味)とは、主権者が公権力を制限して国民の権利を保障する法ということ
    2. 人権についての規定を必要とする
  2. 立憲主義
    1. 公権力を一定範囲内にとどめおく、公職者が守る法
    2. 立憲主義 公権力を制限する憲法を定めた上で統治すること
  3. 近代法の性質
    1. 近代憲法=個人について定め、個人を独立した権利義務の主体とする。個人として尊重する(日本国憲法など)
  4. 憲法最高法規
    1. 硬性憲法 厳しい改正要件
  5. 違憲審査と統治行為論
    1. 戦前の大陸法系国家 裁判所による違憲審査を越権としていた
    2. 現代 法の実質的な公正さを確保するために制度化している
    3. 裁判官は国民から直接選ばれていない=裁判官による違憲審査には消極的な傾向
    4. 統治行為論 裁判所による司法審査は避けるべきとされている

 

 

          *       *       *

 

今回の内容はここまでといたします。お読みくださいまして、ありがとうございました。次回以降、「第2章 近代法④」として第2章を完結させる予定でいます。なお、第3章以降は、全体的にピッチを早めていきたいと考えています。それではまた!