考える冒険

※「信ずることと、知ること。」から引っ越してきました。

【DVD】今井夏子原作『こちらあみ子』鑑賞(ネタバレ含む)

こんにちは。

GEOのレンタルクーポンで準新作が7泊¥100+税で借りられると知ったので、先の通院の帰りに2作(と、旧作¥50+税を1作)借りてきました。その1作が、6月19日(月)に鑑賞し終えた『こちらあみ子』です。今井夏子さんの原作がちくま文庫から刊行されていますが、未読のため、今回はDVDの鑑賞記にとどめておきます。

なお、タイトルにも表示してある通り、いささか「ネタバレ」要素を含みますので、閲覧にはご注意いただきたく存じます。

 

 

海に面している広島県の町に、両親と兄の4人で暮らしている小学生のあみ子は、いささか「風変りな子」として扱われています。中盤で明らかになりますが、両親は再婚していて、あみ子と兄の兄弟は、父の実子です。

習字教室を営んでいる母は妊娠していて、あみ子は弟が産まれることを心待ちにしています。しかし母は、残念ながら流産してしまいます。

あみ子は、「弟」を弔ってやろうと「弟の墓」を作って母に見せますが、その「墓前」で、母は泣き崩れてしまいます。それから少しずつ、親密だった家族の間に軋みが生じてきます。

母はどうやら精神を病んだ様子で、精神科に通院や入院をするようになりました(途中までしか母は登場しません)。兄は暴走族の仲間と出歩くようになり、食事は父が買ってきた総菜でまかなうようになりました。

あみ子にも、どうやら「幻聴」が聞こえてくるようになりました。それをオバケと思い込んで、大声で「オバケなんてないさ!」と歌うようになります。

実はぼくには、統合失調症を病んでいる(かなり寛解が近いですが)弟があるため、痛々しく思われました。しかしその「オバケ」が立てていた音は、ベランダに巣をもうけた鳥によるものだったようです(が、それだけではないでしょう)。

兄は出ていったきりになってしまい、行き詰ってしまった父は、あみ子を実家に預けることを決めました。あみ子はそれを、両親の離婚と受け取りました。

最後、海に歩を進めたあみ子に「まだ水は冷たいだろう」と声をかける男性がありますが、「だいじょうぶ!」と返答するあみ子のアップで物語は幕を閉じます。

これを、みずみずしいとか、活き活きとか、活写、繊細なとかいう論評は可能だろうけど、ぼくにはかなり「深刻」な話と思われてなりませんでした。ご覧になった方の意見を聞いてみたいところです。今回は以上です。お読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!