こんにちは。
23/12/21（木）21時より、clubhouseのルームとして「100分de名著を語ろう」を開きます。この日は、中江兆民の『三酔人経綸問答』三回目の放送「『現実主義』の可能性――南海先生の論を中心に」を扱います。テキスト執筆と番組での解説は、平田オリザさんが担当されています。以下、テキストの「小見出し」に連番を振ってご紹介いたします。
- 参加者の議論を整理する
- 南海先生は、まず紳士君と豪傑君の議論を公平に整理、要約して「相対化」している。
- 福沢諭吉の論法とともに、当時としては全く新しい議論の進め方だった。
- 恢復的の民権、恩寵的の民権
- 南海先生は、二人の議論を「いずれも、現実に役立てることはむずかしい」とした。
- 国民の知識に見合っていない制度をいきなり導入しても安らかな暮らしは得られないと指摘。
- 民権には二種類ある。
- 回復した民権（イギリス、フランス） 下から進んで獲得したもの。
- 賜った民権 上から恵まれたもの
- 日本では、まず「恩寵的な民権」から始めるのは仕方がないこと。
- 制定が決まっているとはいえ、憲法がどうなるかわからない＝法律を段階てきに整備して、人民の権利を拡張していくこと。
- 現実を見るということ
- 暴力革命を支持してなかった兆民。
- 外国を立体的にとらえる
- 知識の「輸入」＝翻訳のプロセスで、バックグラウンドが捨象されて「純化」されてしまう。過激になる傾向が否定できない。
- 複数の現実をとらえる総合知
- 概念に閉じこもって「過激化」するのではなく、「現実」を見ることが必要かつ重要。
- しかし、現実を直視することは困難。
- 矛盾も内包している、多層的な現実を総合的・知的に考えていくこと。
- 事実ではなく風聞が対立を呼ぶ
- 日本人、ないし「人間」は、150年前から「変わっていない」。
- 中国は隣りにあるという地政学的条件は変わっていない。
- 日本人のスケールでは、中国は測りしれず、どうつきあっていくのかは永遠の課題。
- メディアが恐怖を煽る
- 近隣国との戦争が起こる過程を兆民は知悉していた。
- 南海先生の結論
- 「ともかく立憲主義を確立し（略）、以上です」。
- 政治とは「はっきりしないもの」で、一発逆転はあり得ない。
- 対話が生まれにくい現代に必要なこと
- 明治期と昭和30年代には、まだ対話する気風があった。
- 今日では、対話が生まれにくくなった。
- 対話に関する教育が急務。
- 人々は「異なる現実」を抱えている。
- 社会の基本的な仕組みと、それを機能させるための対話についての教育が必要。
- 「思想は種子であり、頭脳は畑です（略）数百年後、それが豊かに国中に生い茂っているかもしれません」
なお、『三酔人経綸問答』のテキストとしては、光文社古典新訳文庫版が採用されていました。今回の「レジュメ」は以上となります。お読みくださいましてありがとうございました。それではまた！
【第2回放送分】
